
研究紹介
「噛む」を見える化する:ウェアラブル咀嚼計測デバイス「Chewlink」
高齢化社会では、咀嚼困難、むせ、食べこぼしなどを伴うオーラルフレイルが、栄養状態や生活の質に関わる重要な課題となっています。本研究では、食品の硬さや形状に応じて、人がどのように噛んでいるかを定量的に評価するため、ヘッドセット型の咀嚼検知デバイス「Chewlink」を開発しました。皮膚にセンサを直接貼り付ける従来手法とは異なり、装着負担を抑えながら咀嚼回数と波形特徴を取得できます。
企業様との共同研究の充実と成果の実現へ。

Chewlinkは、側頭部付近に配置した圧電フィルムセンサによって、咀嚼時に生じる微細な振動を電気信号として取得します。センサ部には凸型のシリコーンキャップを採用し、咀嚼振動を捉えやすくしています。取得した信号はリアルタイムで表示され、咀嚼回数や計測状態を確認しながら、後の解析に利用できるデータとして保存されます。

計測された波形からは、咀嚼回数だけでなく、信号の強さ、咀嚼のリズム、時間経過による変化、総信号量などの特徴を抽出します。これらの特徴を二次元空間に可視化することで、食品ごとに異なる咀嚼応答を比較できる食感マップを構築しました。単に「何回噛んだか」を数えるだけでなく、どのような強さやリズムで噛んだかを含めて評価できることが、本システムの特徴です。
さらに、人の咀嚼を計測するChewlinkと、人工口腔によって食品を噛み、食感を解析する「Gel Biter」を連携させることを目指しています。人が感じる咀嚼応答と食品そのものの物理的特性を結び付けることで、食品評価や口腔機能評価のための新たな指標につながる可能性があります。

本研究は装着負担の少ないウェアラブルデバイスによって、日常の「噛む」という行動をリアルタイムに計測し、食品による咀嚼の違いを可視化できる可能性を示しています。今後は食品差をより明確に捉えられる特徴量を検討するとともにChewlinkとGel Biterの食感を分析し、人の口腔応答と食品物性を統合した新たな食感・口腔機能評価技術の構築を目指します。
共用・共同研究に関心のある方はぜひご相談ください。
| Year | Name | Title | Conference |
|---|---|---|---|
| 2026 | 田中裕哉、小川純 | 圧電センサを用いたヘッドセット型咀嚼検知デバイスの開発 | ロボティクス・メカトロニクス講演会2026 |
| 2026 | 田中裕哉、小川純 | 圧電型咀嚼計測デバイスChewlinkによる食品テクスチャ応答の解析 | 第44回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2026) |

