研究紹介

ゲルクラゲの「影」が生み出す仮想エージェント

私たちは、実際の生きものやロボットの動きを映像空間へつなぐことで、鑑賞者の視線や興味を自然に引き出す表現を目指しています。本研究では、ハイドロゲルによってミズクラゲの柔らかな外観と遊泳運動を再現した人工クラゲ「ゲルクラゲ」を対象に、その動きから映像上の個体が生まれるインタラクティブ・アクアリウムを開発しました。水槽内のゲルクラゲと映像空間のキャラクタが共存することで、実空間と映像空間を行き来する新しい鑑賞体験の実現を目指しています

企業様との共同研究の充実と成果の実現へ。

映像空間に生成される個体を、本研究では「影像個体」と呼びます。影像個体は、誕生した直後には元となったゲルクラゲの位置を追いかけますが、やがてそのつながりから離れ、ほかの個体との関係や自身の内部状態に基づいて行動する存在として構想しています。単なる映像上のコピーではなく、ゲルクラゲから生まれながら、次第に独自の振る舞いを獲得していくことが特徴です。

システムでは、水槽を撮影したカメラ映像からYOLOv8を用いてゲルクラゲをリアルタイムに検出します。検出した位置座標をTCP/IP通信で映像表示用PCへ送り、射影変換によって水槽背面の映像座標へ対応付けることで、ゲルクラゲの位置に合わせて影像個体を生成します。実験の結果、水槽内を泳ぐゲルクラゲの位置を映像空間へ反映し、その場所を起点として影像個体をリアルタイムに表示できることを確認しました。

一方、照明の映り込みやゲルクラゲ同士の重なりによって検出が不安定になると、影像個体の生成位置にも揺らぎが生じます。今後は検出と座標伝送の安定性を高めるとともに、影像個体がゲルクラゲから離脱し、自律的に行動する仕組みを実装します。さらに視線計測実験を行い、ゲルクラゲと影像個体が共存する映像表現によって、鑑賞者の視線や水槽の見方がどのように変化するかを定量的に評価します。

本研究は、アニマロイドが常に正確で一貫した応答を返すのではなく、内部状態と外部応答の間に適度なずれや不確実性を持たせることで、ユーザの触れ方や探索行動を変化させられる可能性を示しています。今後は、人工的な性格の種類や応答パターンを拡張するとともに、人とやわらかアニマロイドのより自然で感性的なコミュニケーションの実現を目指します。

共用・共同研究に関心のある方はぜひご相談ください。

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YearNameTitleConference
2026石山陽貴、小川純ゲルクラゲ水槽と1/f ゆらぎ映像の併置による癒し効果の創出ロボティクス・メカトロニクス講演会2026
2026石山陽貴、小川純ゲルクラゲと影像個体の共存型マルチエージェントアクアリウム4DFF2026