『香料』312号に、咀嚼と呼吸から香りを読み解く研究の解説記事が掲載されます
2026年12月20日発行予定の『香料』312号に、小川純の解説記事「咀嚼と呼吸から香りを読み解くレトロネーザルアロマAI」が掲載されます。
本記事では、食感解析AI「Gel Biter」から、咀嚼・呼吸連動型システム「Breath-YU」へと発展してきた研究を紹介します。テーマとなるのは、食品を噛んだときに口の中から鼻へと抜ける香り「レトロネーザル香」です。香りを機械で測る技術の歩みを振り返りながら、食べる動作によって生まれる香りの「起伏」を捉えるという研究の考え方を解説しています。
Breath-YUは、人工的な口腔・鼻腔モデルを備え、食品を噛む動きと、それに同期した気流を組み合わせる装置です。咀嚼によって放出される香気成分をガスセンサで検出し、時間とともに変化する応答を機械学習で解析します。
記事では、グミを用いた香料の濃度・種類の識別に加え、同じ量の香料を含んでいても、食品の硬さや壊れ方によって香気応答が変わる実験を紹介します。食品に「何が含まれているか」だけでなく、「どのように噛まれ、香りが放出されるか」に目を向けることで、食感と香りを結び付けた食品設計の可能性を探っています。
さらに、「香りを正確に分類する機械」と「人の感覚を再現する機械」は同じなのかという問いにも触れています。計測条件をそろえることで得られる安定性と、人の食体験が持つ個人差や揺らぎ。その両方を見据えながら、食のおいしさを工学的に理解する研究の展望を述べています。
香気センシングや食品開発、人の感覚を扱う技術に関心のある皆さまは、ぜひご覧ください。
掲載情報
掲載誌
『香料』312号
発行予定日
2026年12月20日
記事タイトル
咀嚼と呼吸から香りを読み解くレトロネーザルアロマAI
―香りの「起伏」を捉える咀嚼・呼吸連動型システム Breath-YU―
著者
小川純(山形大学大学院理工学研究科)

